過激なスポーツの選手は
活性酸素の害で様々な障害や短命に

春山茂雄・田園調布厚生病院長著:「脳内革命」(サンマーク出版刊)から

 

「運動量が多いと短命になる」とは?

 
■ 運動は活性酸素の害を受け不健康になる
  運動選手は見るからに頑丈そうで、人一倍健康そうに見えます。また、鍛えられた筋肉は美しくさえあります。彼らの肉体はハードなトレーニングによってつくらけています。しかし、そのトレーニングによって確実に活性酸素の害をこうむっていることを指摘する人はめったにいません。スポーツ医学をやった人にはわかりますが、彼らは見かけは強そうでも、決して肉体的に健康とはいえないのです。むしろ不健康だといったほうがよいかもしてません。
 
■ スポーツ選手は故障が多く寿命も短い
  証拠に一般の人はけっこうハードな仕事をやりながらも、ちゃんと定年の60歳まで勤めあげますが、スポーツを職業とする人で60歳まで現役などという人は見あたりません
  プロ野球も30歳を過ぎればベテラン、40代の現役はまれな存在です。マラソンなどは20代が盛りで、これも40代は無理です。相撲も20代中心です。それだけではありません。スポーツ選手は一般人に比べると、肉体の故障が多く平均寿命も短いのです。

 

 
マラソン選手は普通の幸福は難しい

 
■ 素人のマラソンは百害あって一利なし!
  最近は素人マラソンがはやりで、一般の人もよく走っていますが、好きで体の犠牲も厭わないというならけっこうですが、もし健康のために、というのなら「おやめなさい」と忠告します。素人のマラソンは百害あって一利なしです。
 
■ 女性は生理不調・無排卵、男性は無精子
  女性のマラソン選手などは、それで青春を燃焼し、一つの人生をかたちづくる意味では、それなりの選択肢ではありますが、普通の意味での女の幸福は難しいはずです。なぜならほとんどの選手が生理不調になるからです。生理があっても無排卵が多い。精子、卵子は活性酸素の害を受けやすい。過激なスポーツをやる選手は、子供が生めない。生んでも奇形が多いといったマイナスをこおうむる確率が高いのです。男子の場合でも無精子というのが多く見られます。

 

 
長寿には体育系が不利・文科系が長生き

 
■ 体育系の早死は活性酸素の被害のため
  運動のしすぎがよくないことは、下の図からも明らかです。これは運動と寿命の関係を表したものですが、長寿という点では明らかに体育系が不利になっていることがわかります。
  体を鍛えて筋肉もしっかりついているのに、体育系が早死にするのは、それだけ活性酸素の被害が大きいということです。文科系と理科系では文科系のほうがやや長生きしていますが、これは理科系が理論計算などで左脳を使うことが多いためと思われます。脳内モルヒネは右脳優位で出てくるものですから、右脳を使うことが多い文科系がいちばん長生きしている。長生きするには筋肉をつくらなければだめですが、使い過ぎるのもまただめだということです。

 

 
激しい運動は25歳までにしておく

 
■ 激しい運動は活性酸素を中和させる必要あり
  お腹がせりだしてきたらどうすればよいか?筋肉が減ったのですから、ふたたび筋肉をつければよいのです。ただ、ここで一つ問題なのは、筋肉をつけようとするとエネルギーが発生することです。そのとき毒性の活性酸素が出てくるので、これをしっかり中和させる必要があります
 
■ 若い時は体内のSODが活性酸素を処理してくれる
  25歳くらいまでの若い間は活性酸素の毒を中和するSODが十分つくられるので、きちんと中和することができます。しかし、このころ、つまり脳の発育が止まるころになるとどういうわけか、SODの蓄積がガクンと止まってしまうのです。だから体を鍛えて筋肉をつけるのなら、まだ脳が発育中の若いときがよい。若ければ激しい運動をして多少の活性酸素が出ても平気だからです。この時期に筋肉をつけておき、あとはそれを衰えさせないようにすることです。

 

 
「運動で脂肪は減らない!」ことの理由

 
  やせる願望は、男女とわずに強いようです。肥満が成人病のもとであることを考えれば、よい傾向ですが、大きな誤解があるようです。これは「運動で脂肪を減らせる」を信じていることです。パワートレーニングでは脂肪はほとんど燃えません。脂肪が燃えるのは、ゆるやかな運動をしたときだということです。
 
■ 運動は「筋肉をつける運動」と「脂肪を燃やす運動」の二つ
  つまり筋肉の動かし方には二通りあるのです。一つは筋肉をつける運動、もう一つは脂肪を燃やす運動、これはまったく種類が違うのです。筋肉をつける運動がパワートレーニングです。重いバーベルを上げたりするのがそれです。これに対しジョギング、ウォーキングのように、運動としては軽いが長い時間をかける運動が脂肪を燃やす運動です。
 
■ 激しい運動では酸素が動員されて脂肪が燃えようがない
  なぜ激しい運動では脂肪が燃えないのか?脂肪がもえるためには酸素がたっぷり必要なのですが、激しい運動では、運動のために酸素が動員されてしまっているので、脂肪が燃えようがないのです。
 
■ 激しい運動は活性酸素を引き出すだけ!
  したがって100メートルの全力疾走では脂肪はいっさい燃えません。だから肥満防止が目的ならば、つらい運動などはあまりやり過ぎないことです。そんなことをしても効果がないばかりか、活性酸素の害を引き起こすだけです。

 コ メ ン ト : やせる目的の運動ではなく、筋力を付けるための運動をする必要なときもあります。この場合には、活性酸素の弊害を除去するために、運動の前後に、SOD様作用食品を摂取することも考えてみてはいかがでしょうか。

 

 
脂肪を燃やす運動として最適なのはウォーキング

 
  いい呼吸をしながら、楽な運動を長時間やると、酸素がたっぷり供給され、脂肪はどんどん燃えてくれます。脂肪を燃やす運動として最適なのはウォーキングです。私の病院ではマンツーマンで小1時間やってもらいます。これでずいぶん効果を上げています。
  ゆるやかな運動は脳内モルヒネも分泌させます。これが運動そのものを心地よいものにしてくれる。食事をしてから少し休憩して、それからウォーキングをすると、多少の食べ過ぎであっても、脂肪はどんどん燃えてくれます
 
■ 歩行が1日トータルで1万3千歩が目安
  なお、ウォーキングの量は1日トータルで1万3千歩が目安です。日常的にも歩きますから、ウォーキングでは8千歩から1万歩でよい場合もあります。これは個々のライフスタイルから計算してみてください。
 
■ 誰か仲間と行うことが長続きのコツ!
  問題はゆるやかな運動が、現実的にはなかなかこまめにできないことです。よいとわかっていても、なかなかできない。私の病院では患者さんに怠けずに続けてもらうために、相手をする人間をつけているのです。