老年期痴呆@:脳血管性痴呆
脳血管性痴呆は動脈硬化が原因・活性酸素の除去で予防も可能!?
清水 信・東京慈恵会医科大学助教授:「老年期痴呆」:(日本放送出版協会)から
岡安裕之・昭和大学医学部助教授:「お年よりの脳梗塞」(日本放送出版協会)から

  動脈硬化に起因する脳の疾患には、既に「脳・心疾患を引き起こす動脈硬化と活性酸素」で述べた「脳出血」「脳血栓」があります。ここでは、脳血管性痴呆を引き起こす「脳梗塞=脳軟化」について述べることにします。なお、これらの三つの疾患( 「脳出血」 「脳血栓」 「脳梗塞=脳軟化」 )は、動脈硬化を基盤とするため、「活性酸素の除去」により予防できるものと思われます。

 

脳出血・脳血栓・脳梗塞=脳軟化の区別

 

 脳   出   血
  動脈硬化で、内腔が狭小化し、もろくなった血管が破れて出血します。細い血管に起こりやすいようです。脳出血発作後、生存した場合は、神経の脱落症状を伴うが、徐々に回復します。6〜8ヵ月後に残存している症状は回復しがたいようです。

 脳   出   血
  動脈硬化により、脳の血管が次第に細くなり、最終的に詰まり、血栓部より遠位の組織は壊死します。壊死部分の機能喪失状態で、片麻痺、片側知覚純麻、半盲、失語症、脳神経症状などの症状を伴うことがあります。予後は「脳出血」に比べ良いようです。

 脳梗塞=脳軟化
  脳血管性痴呆の病態で、動脈硬化により、脳の血管が詰まり、24時間以上、脳神経症状が持続するものを「脳梗塞」といいます。多くの場合、脳の組織が溶けて(脳が溶けるため、一般に「脳軟化」といわれます)、空洞化します。

 

 
脳血管性痴呆を引き起こす
脳梗塞=脳軟化が起こるメカニズム

 
■ 脳血管が詰まり組織が壊死する脳梗塞
  何らかの原因で血管が詰まると、その先の脳細胞は酸素不足に陥ります。脳の血管が詰まることによって、組織の一部が壊死する病気を「脳梗塞」といいます。血管の詰まる最も大きな原因は、動脈硬化です。動脈硬化とは、血管が肥厚し、硬くなった状態をいいます。太い血管に梗塞が起きると、組織が広い範囲に壊死するため、障害も大きいようです。お年寄りの場合は、細い血管に梗塞が起こることが多いようです。
 
■ 心臓や首の動脈の血塊が脳障害を起こす
  心臓や首の動脈にできた血液の塊が血流にのり、脳の血管で詰まる場合もあります(心臓では脳梗塞、首では一過性脳虚血発作)。

 

 
脳血管性痴呆(脳梗塞=脳軟化)の症状

 
  脳血管性痴呆の症状には、中核症状と周辺症状の二つの症状があります。

 中 核 症 状
  どんな痴呆の患者さんにもある症状で、「記憶力が悪くなる、抽象的思考ができなくなる、判断力がなくなる」などの知的な機能の低下が起こります。神経細胞の構造的病変によって起こる症状なので、治癒して回復させることは困難せす。

 周 辺 症 状
  大別して「せん妄」と「通過症状群」の二つの種類があります。
 
せ  ん  妄  : 意識が濁って一時的に取りとめのない状態をいいます。
通過症状群 : 意識ははっきりしていますが、病気の段階や時期によって出たり消えたり状態で、次の種類があります。
 @感情障害(気持が沈む)
 A自発性低下(口数が減るなどのうつ状態)
 B妄想(毒を盛られている・物を盗まれたなどの思い込み)
 C幻覚(子供の声が聞こえるといった幻覚症状)
  これらの周辺症状に対しては、現在、かなりの程度まで治療が可能になっています。

 

 
ご注意!無症候性脳梗塞と慢性硬膜下血腫

 
 
無症候性脳梗塞
  最小血管は、動脈硬化で、血管が詰まっても、壊死する細胞が少なく、はっきりとした症状がないままに、何か所にも発生し、それらが、積み重なって、脳全体の働きを低下させます。以下の変化を伴うことがあります。
 @口数が少なくなる(あまり会話に参加しなくなる)
 A早く寝る(夕食の時間に、すでに床に入っていたりする)
 B外へ出ない(日課の散歩をしなくなり、家に帰れない)
 C近所で道に迷う(普段通る道で迷い、家の帰れない)
 D元気がない(だるそうで、風邪気味のような症状が出る)
 E食欲がなくなる(食事を残したり、食事を抜いたりする)
 F食べ物がうまく飲み込めない
 G物忘れがひどくなる(少し前のことが思い出せない)

 慢性硬膜下血腫
  頭部外傷などで、脳と頭蓋骨との間に血の塊ができると、痴呆と同様の症状を呈すことがあります。本人は自覚してないことが多いようです。早めの検査が望まれます。

※脳血管性痴呆の予防は動脈硬化の予防を意味します。そして、動脈硬化の予防には活性酸素の除去も一方法と思います。