白内障の原因も活性酸素C
白内障も過酸化脂質の影響が濃厚!特にビタミンEが大切
水野有武・東京慈恵会医科大学助教授:SOD資料から

 

 

過酸化脂質は目の水晶体濁らせる

 
■ 老人性白内障が白内障の約9割を占める
  俗に、しろそこひ≠ニ呼ばれる白内障は、瞳孔の後ろにある水晶体と呼ばれる透明なレンズが濁る病気で、多くの種類があります。たとえば、老人性白内障、先天性白内障、糖尿病性白内障、外傷性白内障、放射線白内障、ステロイド白内障などがありますが、中でも特に多いのが老人性白内障です。
 
■ 水晶体の老化物質である過酸化脂質の除去には、ビタミンE
  老人性白内障は、その名のとおり多くは60歳以降に生じますが、原因はまだよく解明されていません。しかし、年を取るにともなって起こることから、体の老化物質である過酸化脂質が関係している可能性は大いに考えられます
  体内の脂質の酸化を防ぐ働きをするビタミンEは、水晶体の脂質の酸化を防ぐため、日頃からビタミンEを十分に取ることは、白内障の予防につながる可能性も大きいといえましょう。
 
■ 水晶体が濁る原因の一つは過酸化脂質!
  水晶体が濁る原因は、いろいろ考えられますが、一つに水晶体の中で生じる過酸化資質が関係していると考えられます。水晶体は光を通しましが、その光が光化学反応を起こし、過酸化脂質をはじめ、多くの過酸化物を生じさせるのです。
 
■ 水晶体中のビタミンが脂肪の酸化を防ぐ
  それに対して、水晶体は防御の仕組みを持っています。そのため、水晶体の中にはグルタチオン、ビタミンB2・C・Eといった酸化還元物質が多量に含まれているのです。若いうちは、これらが脂肪の酸化を防ぎ、水晶体が濁るのを防止してくれます。そかし、70歳を過ぎるとほとんどの人は、必ずといってよいほど水晶体に濁りが生じてきます

 

 
年を取ると、目の水晶体が濁る理由

 

 理由1:水晶体は無血管で代謝が緩漫
  目の水晶体の中には、体のほかの組織のように、血管が通じていないため、物質の代謝(物質交代)がきわめて緩漫にしか行われないこと。生物が生きるということは、食物を酸化して、そのエネルギーを利用しているということです。したがって、人間の体内には、年をとるにつれて過酸化脂質がたまりやすくなりますが、水晶体のような組織の場合は、特にその傾向が強いというわけです。

 
 理由2:光化学反応の影響を受けやすい
  脂質が光によって酸化を受ける(これを光化学反応という)ことが問題となります。水晶体は光を集める組織でもあるため、絶えず光にさらされ、細胞膜の中の脂肪は、その影響を最も受けやすいのです

 

 
加齢による白内障に対する防御

 
■ 水晶体の酸化を防止するグルタチオンは加齢で減少する
  酸化の脅威に対して、体には、もちろん防御機能があり、それが先にあげた酸化還元物質というわけです。このうち、最も中心的な働きをしているのが、グルタチオンです。このグルタチオンは体内で合成されるだけで、食品からは取れないため、年をとるにつれ減少する傾向があるのです
 
■ グルタチオンの代わりにビタミンEが効果的
  グルタチオンが外部から摂ることが難しいのに対し、他のビタミン類は食品から摂ることが可能です。したがって、白内障を予防するには、これらが不足しないような食生活を送る必要がありますが、中でも特におすすめしたいのがビタミンEです。それは、ビタミンEは脂溶性(脂に溶ける性質)ですから、水溶性(水に溶ける性質)のB2やCに比べて、脂肪の酸化に対しては、より直接的に働くからです。
 
■ 動物実験によるビタミンEの臨床効果
  動物実験の段階ですが、ビタミンEが水晶体の濁りを抑えたという報告は数多くあります。たとえば、その一つをあげると、メリーランド大学眼科のパーマ教授によるもので、実験的糖尿病性白内障や、過酸化を引き起こす薬剤による白内障が、ビタミンEにより発症が抑えられたという報告です。この実験結果が、ただちに白内障の人に応用できるというわけではありません。というのも、今の日本人にはビタミンEが不足している人がほとんどいないにもかかわらず、60歳以上になると白内障が増えることの理由がはっかきりしないこと、があげられます。