花粉症薬で不整脈
前ページで述べた同じ薬が、再び副作用!

厚生省中央薬事審議会副作用調査会:朝日新聞(97-02-14)から

  花粉症などのアレルギー性鼻炎や気管支喘息などの治療薬であるテルフェナジン(商品名:トリルダン)のよる副作用で、不整脈をおこした患者が過去2年間に10人に昇ることが分かり、厚生省は13日、「緊急安全情報」を医療機関などに配布し注意を呼びかけるとともに、製薬企業に対して使用上の注意を改訂するよう指示した。

 

 
● 広く使用されているこの薬には、副作用の報告が相次いでいる
  厚生省によると、テルフェナジン錠は他の類似の薬剤に比べて、眠気を催すことが少ないために広く使用され、年間約265億円の売り上げがある。
  一方、承認から5年間で不整脈の副作用が七件報告されたために1995年1月、添付文書の中に警告欄を設け、不整脈を起しやすい患者や抗生物質を服用している患者などには投与しないことなどを記載するよう、発売元を指導していた。
 
● 指導後も続く副作用!海外では死亡例も!
  ところが、その後も副作用の報告が相次ぎ、海外では死亡例も報告されたことなどから、以下のことなどを記載した緊急安全性情報を配布した。
 
@投与してはならない場合
  抗真菌症薬や抗生物質を服用している患者、重い肝障害のある患者、不整脈を起しやすい患者、心不全・心筋梗塞の患者など。
 
A慎重に投与する場合
  高齢者や、肝障害・心疾患のある患者など。
 
B直ちに投与を中止し、心電図検査など適切な処置を行う場合
  ふらつき、めまい、どうき、失神などの異常が認められるとき。
 
  米国ではテルフェナジンに代わる副作用の少ない新薬が認可されたため、米食品医薬品局(FDA)が今年1月、テルフェナジンの承認を取り下げることを提案している。日本では、この新薬は臨床試験中で、医療現場で使用できない。