活性酸素は、生体内の代謝や放射線・薬などで不安定な状態になった酸素で、普通の酸素より化学反応を起こしやすく、細胞破壊や発癌、老化などに関与しているとされる。
葛西
宏・産業医大教授(前国立がんセンター室長)らは、活性酸素によってデオキシリボ核酸(DNA)の塩基の1つグアニンに傷がつくと、「8‐ヒドロキシグアニン」に変化することに注目。8‐ヒドロキシグアニンの量を測定することで、間接的に活性酸素を測定した。
肝臓の手術を受けた患者から、肝臓組織を採取し、肝細胞中の8‐ヒドロキシグアニン量を比較した。その結果、慢性肝炎の細胞からは、健康な組織の約2倍の8‐ヒドロキシグアニンが見つかった。
一方、葛西教授によると、8‐ヒドロキシグアニンはDNAにある種の突然変異を起こすことが知られている。この変異にタイプは、肝臓癌の組織の中で見つかる癌抑制遺伝子「P53」の変異と同じものだという。そこで、8‐ヒドロキシグアニンがP53に突然変異を引き起こし、癌発生の引き金になっていると考えられるという。
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