活性酸素は動脈硬化を起こす!
活性酸素は反応がよすぎて、動脈硬化や癌の原因に
五十嵐 脩・お茶の水女子大学教授:朝日新聞(95-03-04)から


 

活性酸素は臓器をむやみに酸化して有害物質を作る

 
■ 呼吸に必要な酸素は悪者にもなります!
  「酸素は悪者でもあるんです」と、ビタミンなど坑酸化剤を研究する五十嵐 脩・お茶の水女子大教授は言う。
  酸素は栄養を燃やしてエネルギーを得るのに欠かせないが、反応がよすぎて悪さもするという。特に、普通は二つ結合している酸素原子が一つだけになると、むやみに酸化して有害物を作る。体内で似た形ができたのが、活性酸素やラジカル(遊離基)と呼ばれる暴れ者動脈硬化を起こし、癌の原因にもなると、学者の注目をあつめている。

 

 
悪玉コレステロールも活性酸素が無ければ悪さはしない

 
■ 活性酸素と悪玉コレステロールが一緒になって暴れ者を作る
  例えば、悪玉コレステロール(LDL)は、そのままなら悪さはしないと分かってきた。活性酸素やラジカルで酸化されると、動脈硬化を促進するという。この時の暴れ者(過酸化脂質)を、植物油のリノール酸など不飽和脂肪が作るという研究が、最近いくつか出てきた。
 
■ リノール酸の長期使用は、動脈硬化を進め、寿命を縮める!
  リノール酸系統は最近まで、「コレステロールを減らす」と一部で奨励されていた。紅花油や月見草油をはじめ、一般に植物油に多い。だが、奥山治美・名古屋市立大教授によると、リノール酸の効果を長期的に調べたら、かえって動脈硬化を進め、寿命を縮めると分かったという(グラフ)。
  「日本人は、動物性脂肪の摂取は少ないが、リノール酸摂取が増え、いまや世界一です。血管の病気や癌を増やしていないか心配です」と奥山教授。

 

 
活性酸素の毒消しに「n3系」脂肪

 
■ シソ油・エゴマ油・魚・海藻・野菜など
  毒消しとして、不飽和脂肪だが作用が異なるアルファ・リノレン酸、魚のエイコサペンタエン酸など「n3系」脂肪を多くとるとよいと言う。「n3系」はシソ油・エゴマ(ゴマとは違う)油に多く、魚・海藻・野菜にも含まれる。
  国立健康・栄養研究所臨床栄養部長の板倉弘重氏も「現在ではリノール酸を抑え、n3系を多くとるように心がけるのが合理的でしょう」と言う。
 
■ 基本的には、単品油ではなく、多種類の油の摂取が必要です
  ただ「バターを抑え、植物油を多くいたら動脈硬化によかった」という研究も多いので、決着をつけるには資料がまだ不十分と見る学者が、板倉だんを含めてかなり多い。
  研究の進展によって、養生も変わっていく。勉強は欠かせまい。だが根本的には、リノール酸を抑えつつも、特定の油にすべてを託すのではなく、多種類の油で美味と健康をめざす姿勢が大事との声も多い。

 

 
活性酸素の予防には坑酸化物質(ビタミンA・C・E)を摂取

 
  五十嵐さんは、活性酸素の害を防ぐため、ビタミンA・C・Eを多めに補給して、人類美経験の長寿時代の健康を確保したいと言う。
  学者によって差はあるが、1日のビタミン摂取量は以下の通りが、おおよその「無害で有効」の目安と言う。
  A(カロチン)→数r
  C→→→→→数r
  E→→→→→数r

  ビタミンEは多めのCとともに摂ると良いという。

 

コ メ ン ト : 「無害で有効」ということは、摂取過多では、有害な副作用があることが分かります。また、ビタミンEとCの併用は、ビタミンの効果を有効にするためには、そのバランスが重要であることが理解できます。