高血圧は動脈硬化を促進する

 

  ここでは、『動脈硬化の概略』および『血圧と動脈硬化の相関関係』を述べることにします。「血圧が高いと、動脈硬化が進行している」あるいは「動脈硬化が進行していると、血圧が高い」ことが理解できます。

 

長期間の高血圧は、動脈硬化を引き起こす
中村治雄・防衛医科大学教授:「新しい動脈硬化の予防と治療」(94-11の講演会資料)から

 

動脈硬化の危険因子

 @ 高血圧
 A 総コレステロールの増加
 B LDLコレステロールの増加
 C HDLコレステロールの減少
 D その他(性格・喫煙・肥満・糖尿病・痛
       風・運動不足など)

 
■ 動脈硬化の発生原因は高血圧が第1位!
  左図は、中村教授の講演会のスライドの模写ですが、動脈硬化の原因として、高血圧を第1位に挙げ、「最高血圧が140oHg以上あるいは最低血圧が90oHg以上では、正常血圧の人に比べ、4〜5倍の速度で動脈硬化は進行する」としています。

 

 
動脈硬化とは、血管の内腔が狭くなり血管壁が脆くなること

 
■ 正常な動脈の構造
  動脈は、内側から「内膜・中膜・外膜」の3層がら構成され、極めて丈夫な構造になっています。
 
    

 
■ 丈夫な血管も過酸化脂質には勝てない!
  この丈夫な血管も、活性酸素とLDLコレステロールが結合してできる過酸化脂質を中心とする脂質により、障害を受けます。
血管の障害 @ : 内膜に沈着して、内腔を狭小化し、血流を悪くします(脳梗塞・狭心症・心筋梗塞など)。
血管の障害 A : 中膜の中に浸透して、中膜を脆くし、僅かな血圧の上昇でも血管が壊れやすくなります(脳出血など)。
 
       

 

 
高血圧と動脈硬化の相関関係
脈波・コロトコフ音記録計(潟pラマ)から

 

  上図は高血圧と動脈硬化の相関関係を模式的に表したものです。おおよそ以下の傾向があると思われます。
 @ 健常で脂質沈着を認めない動脈での血圧は、60〜110oHg。
 A 脂質沈着・狭窄を始めた動脈では90〜150oHg、高脂血症を認める。
 B 脂質沈着で動脈の炎症を認める場合は、100〜180oHg。
 C 著明に内腔が狭窄した動脈では、最低血圧が130oHg以上となり、脳や心臓などにおいて重度の動脈疾患を呈す。