B型肝炎の治療薬の投与を受けた患者のうち28人が副作用を起こし、うち2人が死亡、1人が重症になっていたことがわかり、厚生省の中央薬事審議会副作用審査会は7日、添付文書に警告欄を設けて注意を促すよう指示した。
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承認されたばかりの新薬に副作用が発生
昨年夏に承認されたばかりの新薬で、副作用の症例としては、肝機能を測るGOT、GPTの値が急上昇する肝機能障害を起こし、黄疸の症状が現れている。昨年11月までに10例以上の副作用が報告されていたのに、(厚生省からは)医療機関にはこの日まで、具体的な注意喚起はなされなかった。
三和化学研究所(本社・名古屋市)が製造し、山之内製薬(本社・東京)とともに販売している医薬品「セロシオンカプセル10」で、昨年七月に承認を得て、8月末に販売を開始している。
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投与期間が9日から3ヵ月間で副作用
発売直後の昨年9月10日に投与を始めた宮崎県の男性(48)が同19日(投与期間9日間)に黄疸にかかり、投与を中止したが、10月1日に死亡した。さらに、11月には約3ヵ月間副作用を続けてた患者が黄疸で重症になり、今年2月末には、途中まで服用を続けていた患者が死亡した。このほか、25人の患者が副作用後の副作用を起こしている。
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死者が出た後での警告では遅すぎる!
このため、副作用調査会は、薬との因果関係は否定できないとして、添付文書の警告欄に「慢性肝炎が急性増悪することがあり、死亡例が報告されている」と記載したうえ、投与後2、4、6週目に肝機能検査をするよう医師に求める記載を加えることをメーカーに指示した。
発売直後がら副作用が確認されたため、三和化学研究所は、昨年10月に全患者の追跡調査を実施している。この結果、GOTなどの値が異常に高い患者が40人にのぼり、添付文書の改善を進めていた。
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