慢性C型肝炎の症例 @
SOD様作用食品が、肝機能検査値を改善し、肝癌への進行を予防する
韓 啓司医学博士・恵クリニック院長著:「恵クリニック・院内レポート」から

 

医学博士  韓 啓司   恵クリニック院長

  本項目は、第1報と第2報から構成され、次ページ以降に原文を掲載しています。概略は以下のようです。

 

 

第1報の要約

 

  SOD様作用食品(原文ではAOAと表示)は、肝細胞の破壊を示すGOTやGPT、肝硬変への進展を示すTTTやZTTが著明に改善した。
  これより、SOD様作用食品は慢性肝炎の肝硬変、肝癌への進行予防できる可能性が示唆される。
 

 

第2報の要約

 
 

  インターフェロモン療法を、2例について6ヶ月間行ったが、無効であった。尚、インターフェロモン療法の有効率は30%以下であると思われる。
  SOD様作用食品を3ヵ月以上継続して服用した症例では、諸検査値が改善し、その有効性が充分に期待できるものと測定される。
 

 
第1報 C型肝炎に対するSOD様作用食品の臨床報告

 
  近代医学の進歩は目覚ましく、化学療法、殊に抗生物質の発見により肺炎・肺結核等の感染症による死亡率が激減し、替わって成人病(脳卒中・心筋梗塞・癌等)と言われる老化等を原因とする疾患が急増してきた。更にアレルギー疾患・膠原病リウマチ性疾患・慢性肝炎・慢性腎炎の患者数の増加も注目される。
我々臨床医はこれらの疾患を治療する為に、製薬メーカーの開発する様々な薬剤を使用し努力している訳である。
しかし降圧剤・鎮痛消炎剤等の治療は大変有効であるが、地方、癌・アレルギー疾患・膠原病リウマチ性疾患・慢性肝炎・慢性腎炎等の根治的治療は現在でもなお不可能であり、これらの疾患の多くは原因も不明である。
当院では、これらの疾患の治療に西洋医学と併せて漢方医学的治療を積極的に取り入れ、かなりの患者さんの治療に成果をあげている。しかし、最近話題になっている慢性C型肝炎に関しては、インターフェロモン療法をも含めて決定的治療法は現在もなお見出されていないし、新しく発見される患者さんの増加は続いており、慢性肝炎が原因で肝硬変症、更には肝癌へと至る最悪の経過をたどる患者さんの増加する事を考えると、何か良い治療法はないものかと思考する毎日である。
 
  平成五年八月に慢性C型肝炎で当院にて治療中のY氏よりAOA(抗酸化物質 丹羽靭負博士の開発のSOD様作用食品)の服用の可否について相談された。そこで資料を早速届けて頂き検討したところ、ビールス性慢性肝炎の進行には活性酸素が関与している可能性が推測され、AOAがこれを中和する作用のあることが期待されたので、服用を許可し経過観察した。
表に表すごとく、GOT・GPT・TTT・ZTT・γ-グロブリン(γ-gl)・α-フェトプロテイン(AFP)値に著明な改善を認めた。GOT・GPTは肝細胞の破壊の度合いを示し、TTT・ZTT・γ-glは肝炎の慢性化、線維化の指標と考えられ、肝硬変症へ進展の目安とされる。またAFPは肝細胞遺伝子機能の異常により合成される腫瘍蛋白の一つであり、肝癌への進行の目安である。従ってY氏の成績よりAOAは慢性肝炎、肝癌への進行を予防できる可能性が示唆されるものと判断し、当院のほかの患者さんについて現在AOAを投与し、経過観察中である。
 
  C型肝炎は肝細胞のC型肝炎ビールスによる持続的破壊に対する生体の防御反応の結果と考えられており、細胞内に産生される大量の活性酸素が細胞破壊の原因の一つと考えられている。もしAOAがこれらの酸素を中和できるならば、肝細胞の破壊は緩和され、肝硬変症、肝癌への進行を阻止出来る可能性が期待される。
過剰な活性酸素で発症する代表的疾患として、脳卒中・心筋梗塞・癌・白内障・糖尿病・腎炎・アトピー性皮膚炎・膠原病リウマチ性疾患等があり、AOAはこれらの疾患の治療効果が期待されており、当院でも今後追試を行い、その有効性を検討する予定です。
 
                                                                                                                                    韓 啓司

 

 

 

 
 
第2報 C型肝炎に対するSOD様作用食品の臨床報告

 
  第1報≠ノおいて、我々は慢性C型肝炎患者に対するSOD様抗酸化食品投与の治療成績について報告した(Y氏)。幸いにも一年を経過したが、現在の検査成績は肝臓機能に関しては全く正常で自覚症状も無く、大変元気に勤務しており、日常生活においては趣味のゴルフを楽しんでいる。
  C型肝炎のインターフェロン療法については、当院でも二例試みたが、六ヶ月間の治療にも係わらずニ例とも無効であった。報告されるように、C型肝炎ウィールスのタイプがU型の患者では効果が期待されないらしく、当院の場合二例ともU型である。日本人の場合、大部分の患者さんはU型と云われている。従ってインターフェロモン療法の有効率の報告では30%以下が大勢のようである。
 
  当院に於いて、この間肝炎から肝癌を発症した症例が二例あり、一例は手術が成功し現在も元気に通院治療中であるが、他の一例は帰らぬ人となった。勿論SOD様抗酸化食品投与を試みたが力及ばなかった。
 
  さて、今回我々は前報の結びで述べたように、当院の慢性肝炎患者についてSOD様抗酸化食品の投与を施行し若干の知見を得たので報告する。対象症例は慢性肝炎と診断された27例である。内訳はB型肝炎3例、C型肝炎20例、その他が4例である。本報ではC型肝炎患者についてのみ報告する。
 
  C型肝炎患者20例にSOD様抗酸化食品の投与を試みたが、内9例では投与期間が3ヶ月以内と短いため成績集計より除外した。その内訳は本人が服用を持続しない者が3例、投与期間が諸事情により3ヶ月未満となった者3例、中途で入院又は死亡した者2例、成績の得られなかった者が1例であった。従って、SOD様抗酸化食品を3ヶ月以上継続して服用し検査成績の得られた11例(男性6名・女性5名)について検討した。
 
  投与方法は、SOD様抗酸化食品を一日三包又は六包を使用した。治療成績は表に示す通りである。改善率で検討すると肝炎の慢性化を示すTTT・ZTT値の改善率が最も良好でTTT値73%・ZTT64%であった。肝細胞障害度を表すGOT・GPTではそれぞれ40%、また肝硬変症の発症に相関の高いγ-gl(ガンマ−グロブリン)及び肝癌の発症の目安とされるAFP値(α-フェトロプロテイン)の改善率もそれぞれ40%であった。
 
  有効率を項目数で検討すると、三項目以上は63%、ニ項目以上は73%、一項目以上は91%であった。尚、六項目全て改善したのは一例のみであり、三項目以上改善した四例の内三例は女性であった。女性患者のみでは60%の有効率であり、全項目改善した症例も女性である。以上の結果を基にしてSOD様抗酸化食品の慢性C型肝炎の治療における有効性を検討すると六ヵ月以上の投与期間で全項目が改善し著明に有効と判定された症例はニ例(前報の患者を含め)であり、検査項目の半数の三項目以上改善したのは約40%であり、その有効性は充分に期待できるものと推測された。
 
  全症例21例の治療経過より得た我々の評価について以下のように分析した。
 
@治療継続における問題点
  中断した原因の一つが、服薬のしにくさであった。この点に対して、メーカーの努力で服用しやすい製剤の開発を望むところである。二つ目が、SOD様抗酸化食品に対する患者の理解不足のため自己判断で中断する患者の多いことである。この点に関しては、今後臨床データが揃い有効性が証明されれば解決されるものと信じる。
 
A療養指導の問題点
  女性患者での有効率が男性より明白に高い点より明かなように、改善の認められない患者の多くが男性で社会生活上のストレス、暴飲暴食等も不摂生が原因と考えられ、肝炎治療の基本原則の理解不足があり、これは一重に本人の自覚と医師の熱意に関係すると考える。従って、当院のように外来治療でなく入院治療すれば、よりいっそう有効率は向上するものと期待される。
 
B薬物療法の問題点
  SOD様抗酸化食品は服用時良く咀嚼し、充分消化吸収されて有効な製剤とされている。従って、その効果に個人差が出る可能性があり、投与量の増減や消化吸収の良い製剤の使用が考慮されるべきで、今後メーカーの開発に期待するところである。
 
  地方、現在のところ慢性肝炎治療には絶対的方法は確立されていないので、多少なりとも有効な治療薬があるならば併用すべきであると考えられる。当院では実際、グリチルリチン(強力ミノフェーゲンC)、漢方薬(小柴胡湯等)、ビタミン剤(ビタミンC・ビタミンB12)を併用し、慢性肝炎の肝硬変症、肝癌への進行を阻止すべく努力中である。

慢性C型肝炎患者11例の治療成績
検査項目 異常症例 改善症例 改 善 率
TTT
ZTT
GOT
GPT
γ-gl
AFP
11
11
10
10
5
5
8
7
4
4
2
2
73%
64%
40%
40%
40%
40%

 

改 善 項 目 数 別 有 効 率
改善項目数 改善症例数 有 効 率
3項目以上
2項目以上
1項目以上
4/11
8/11
10/11
36%
73%
91%