肝 炎 の 知 識 A
肝臓機能の検査値と肝炎・肝臓癌の治療法

 

肝 臓 機 能 の 代 表 的 な 検 査 値
柴田久雄・北里大学医学部教授:「肝臓機能を知る」(日本放送出版協会)から

 
  下表の「正常値」とは、健康な人100人中、95人くらいの平均値で、この数値は目安です。検査施設・検査方法あるいは個人によって多少の幅があります。あなたの数値が本表と違っていても、検査した病院の基準に従うべきでしょう。

GOT 28U以下

2項目とも肝細胞の酵素量。増加は肝細胞の破壊の進行状態を示す
【 疾 患 】  肝 炎  ・ 肝 硬 変 ・ 脂 肪 肝

GPT 35U以下
ZZT 12U以下 2項目とも膠質反応の検査。増加は肝炎の慢性化を示す
【 疾 患 】  肝 障 害  ・ 肝 硬 変 (肝細胞の繊維化)
TTT 5.5U以下
γ‐gl 10.5〜19.7% 血清中の蛋白質量。増加は肝機能障害の程度を示す。
【 疾 患 】  肝 障 害  ・ 肝 硬 変 (肝細胞の繊維化)
※ 他に、ビリルビン、コレステロール、あるいはウイルスの抗原・抗体の検査など。

 

 
肝 炎 ・ 肝 臓 癌 の 代 表 的 な 治 療 法
飯野四郎・聖マリアン医科大学教授:「B・C型肝炎の治療」(日本放送出版協会)から

 
  肝疾患の薬物療法は西洋医学あるいは漢方薬を用いた治療法などがありますが、治療効果や副作用の点で決定的な治療法は未だ見出されていないようです。以下に最近の治療法を掲載します。

肝 炎 治 療 法 @
インターフェロモン療法(INS療法)

  インターフェロモン(免疫系蛋白)は、ウイルスの増殖を抑える作用(ウイルスを除去する)がある抗ウイルス剤で、現在期待されている治療法です。本法(注射)は、B型(遺伝子RNA)より、C型(遺伝子がRNA)に対して効果があります。治療には、4週間の入院と22週間の通院が必要です。肝炎に罹患後の期間が短いほど、また肝臓のウイルス量が少ないほど効果があらわれます。
副作用 = 本剤は脳や神経に作用し、全身の副作用として、「肺炎・糖尿病・躁欝・ボケ・視力障害・脱毛など」があります。

 
肝 炎 治 療 法 A
漢  方  薬  治  療

  漢方薬は「長い歴史が安全性を証明している」と信じられ、多くの医療機関で小柴胡湯を代表とする漢方薬が用いられてきました。
副作用 = この「安全神話」にも落とし穴があり、小柴胡湯などで肺炎による副作用死も報告されています。

 

肝 炎 治 療 法 B
強力 ネ オ ミ ノ フ ァ ー ゲ ン C

  ネオミノファーゲンがウイルスを排除するのが目的ですが、本剤は肝細胞がこれ以上壊れないように、肝炎の進行を抑えることを目的としますインターフェロモンが使用不能あるいは効果が認められない場合に使用すます。

 
肝 炎 治 療 法 C
ス テ ロ イ ド 離 脱 療 法

  ステロイド剤は免疫を免疫力を低下させますが、これで免疫力を抑制した後、ステロイド剤を中止すれば、反射的に免疫力が亢進します。亢進した免疫力を利用し、ウイルスを攻撃するという、逆説的な免疫増強法です。

 
肝 癌 治 療 法 @
エ タ ノ ー ル 注 入 療 法

  エタノールが蛋白質を固める性質を利用。癌細胞組織は完全に消滅。開腹なしで、副作用もほとんどありません。

 
肝 癌 治 療 法 A
肝  動  脈  塞  栓  療  法

  癌細胞に栄養と酸素を送り込む肝動脈に塞栓物質(ゼラチン・抗癌剤)などで栓をして、血液の流れを止め癌細胞を壊死させます。

 

 

参考 : 輸血と肝炎ウイルスの感染

 
  B型肝炎ウイルスは感染力が強く、極少量の血液でも感染しますが、C型肝炎ウイルスは感染力が弱く、母子感染はほとんど起こりません。輸血ではウイルスによる汚染の血液が大量に体内にはいるため、感染を起こします。最近(90年以後)は、日本赤十字社に進められた輸血用血液はすべて肝炎ウイルスの汚染チェックをしていますので、将来は輸血によるウイルス性肝炎の感染は激減します。

 

 
参考 : キャリアの日常生活の注意

 
■ ウイルス・キャリア
  ウイルスの感染はあるが、肝炎が発症してない状態が長い間接続している人のことです。
 
■ 周囲の人への感染予防
  血液付着の恐れがある、歯ブラシ、髭剃り、タオルなどは自分専門のもを用意します。しかし健康な人の皮膚には、血が付いた程度では、傷口がない限り感染しません。
 
■ 肝臓への負担を回避
  体力が落ち、肝機能が低下すると、ウイルスに抵抗できず肝炎を発症しやすくなります。「アルコールは控え、ハードな仕事は避け、十分な休養、激しい運動をしない、栄養のバランスを考える、ストレス解消の場をつくる」など、肝臓への負担を注意しましょう。
 
■ 家族への感染
  B型および、C型肝炎ウイルスは、キャリアの人の唾液が付いた食器を共用しても、あるいは、キャリアの人が家族と共に入浴する場合でも、ウイルスの感染する心配はありません。