B型肝炎治験薬でも副作用
11人が肝機能悪化、うち1人が投与中止後死亡
厚生省中央薬事審議会副作用調査会:朝日新聞(97-02-14)から

 

  B型肝炎の治療薬として臨床試験(治験)中の抗ウイルス剤「ラミブジン」の投与を受けた患者が、投与中止後に肝機能が低下して11人が入院、うち1人が死亡していたことが13日、明らかになった。
 
コ メ ン ト : 治験とは、新規に開発した薬(動物実験などでは有効で無害)を、人体を用いて、薬剤の有効性や副作用を実験するので、主に大学病院などで、患者の了解を得て行われます。

 

■ エイズ治療薬を肝機能改良剤として治験
  この薬は国内で4番目のエイズ治療薬として14日に承認される予定だが、厚生省は「エイズ治療薬としての承認には問題はない」と話している。
  B型肝炎の治療薬として治験を進めている日本グラクソ社(東京都渋谷区)によると、治験は1992年に始まり、95年4月から、全国40の医療機関で、290人を対象に長期投与(約1年間)の治験が始まった。
 
■ 投与期間中は効果が認められたが、投与後に肝機能が低下
  これまでの治験では、投与期間中はウイルスの増殖を強力に抑える効果が確認された。しかし、昨年8月以降、投与を終えた患者11人の肝機能が再び低下。うち10人は自然に肝機能が回復したが、福岡県内の大学病院で治験を受けていた40歳の男性は、投与終了後2ヵ月目に急激に肝機能が低下し、昨年12月、肝不全で死亡したという。
  同社は、副作用例を厚生省に報告するとともに、治験に参加している医師に患者の経過観察を十分に行うよう呼びかけた。