糖尿病による神経障害
松岡健平・東京都済生会中央病院内科医長:「糖尿病で血管に障害が出るとき」(日本放送協会)から
 

 
糖尿病の慢性合併症が神経障害

 
  高血糖状態が長時間続くと、慢性合併症である神経障害が生じ、障害は上の図のようにほとんど全身に現れます。糖尿病になると神経が侵されるのは、神経細胞が高血糖にさらされ、神経細胞の代謝に異常をきたすためです。そのため、神経の伝導がうまく働かず、体中のさまざまな部分に異常が生じるわけです。神経には、自覚できる知覚神経、運動神経のほか、内臓にめぐらされ、自覚できない自律神経があります。高血糖では、どの神経も侵され、知覚障害のほか、内臓の動きが鋭くなることがあります。
 

立ちくらみ(起立性低血圧)

起立時、極端に低血圧になるために起こります。意識を失うこともあります

 

倒れる際に頭部などを打撲する危険もあります。
 
 

眼  筋  麻  痺

眼球を動かす筋が麻痺すし、眼球が動かず、視野が狭くなります。
   
 

顔 面 神 経 麻 痺

顔面の筋が下垂し、動かなくなります。味覚障害を伴います。
   
 

無痛性心筋梗塞

知覚神経が鋭くなり、狭心症や心筋梗塞の痛みを感じません。
   
 

胃   無   力  症

胃の働きが悪くなり、消化吸収のリズムが狂います。そこで、インシュリン
  投与に注意が必要となります。
 
 

膀  胱  障  害

尿がたまっても感じないため、膀胱に尿がたまります。尿の出が悪くなり
  排尿に時間がかかります。
 
 

イ ン ポ テ ン ツ

陽不起
   
 

便  秘 ・ 下  痢

自律神経障害の結果、胃や腸の働きが悪くなるため、発症します。
   
 

尿 路 感 染 症

排尿しても膀胱に残尿が多くなるため、膀胱炎や腎猛炎などにかかりやす
  くなります。
 
 

こ む ら が え り

こむらがえりは運動中よりも、運動後や就寝中に起こります。
   
 

し  び  れ  感

神経痛とまちがえやすいようです。
   
 

疼         痛

松葉の先で刺すような痛みがあることもあります。
   
 

知  覚  鈍  麻

さらにひどくなると、その痛みすらも感じなくなります。
   
 

足の潰瘍 ・ 壊疸

痛みがないので、ケガをしても放置するため、化膿したり、足が変形しても
  気づかないこともあります。