糖 尿 病 の 知 識 B
糖尿病は病気の玉手箱「厳重警戒」が必要です!
朝日新聞(95-04-08)から
 

 
 

糖尿病は多くの合併症を引き起こす!

 
■ 早期に症状が無いのが問題
  糖尿病は,実にやっかいな成人病だ。怖い顔をしていないのがくせ者で、その上、非常に多くの合併症を引き起こす。
 
■ 失明・腎障害・虫歯・脳心疾患を起こす
  網膜をやられると失明する。中途失明の原因では第1位だ。腎臓がダメになると、人工透析をしなければならない。
  かゆいとか、しびれるなどの神経障害も増える。体にバイキンがたまりやすいうえ治りにくく、虫歯まで増える。どれも晩年がつらい。
  心筋梗塞脳卒中など、致命的な病気もぐんと増える。糖尿病は病気の玉手箱だ。

 

 
糖尿病は血管の敵「血管病」

 
  糖尿病のために起きる病気が、こんなに多いのはなぜか?最大の理由は、血管を傷つけるからだ。全身に分布する血管のどこに目立つ障害が起きるかで、違った病名になる。
 
■ 糖尿病で血管はグズグズに傷んでしまう
  糖尿病は血液中のブドウ糖が多すぎる病気。だぶつくブドウ糖が、いろんな物質にくっつく。たんぱく質にくっつけば変性して、もともな働きを失う。必要なものを作らなかったり、かわりに有害物質を作ったりするので、血管はグズグズ傷んでいく。
 
■ 糖尿病の人は動脈硬化になりやすい!
  一方、糖尿病にかかる人は血圧やコレステロール、中性脂肪が高すぎることが多い。これは、動脈硬化への道だ。
 
  この二つの仕組みが重なって、糖尿病は血管の若さの敵になる。「血管病」とさえいわれる。

 

 
血糖降下剤の増量で「糖尿病の悪化」

 
■ 血糖値の低下が、進行や合併症の予防に
  養生は、中高年に多い成人型なら、血液のブドウ糖を減らす血糖コントロールが基本。節食、運動、血糖降下剤など、すべてこの目的のためだ。血管がやられるには長年月かかる。血糖値を早く下げるほど、進行も合併症も防げる。
 
■ 血糖降下剤は補助、頼ると悪化もある
  最近、血糖降下剤が増えたが、松岡健平・東京都済生会中央病院副院長は「血糖降下剤は補助。頼りきらないように」と強調する。
  過食や運動不足など、ブドウ糖があふれる根本原因がそのままだと降下剤の増量を繰り返し、ついに薬が効かなくなって糖尿病が非常に悪化するという。

 

 
自分に大事な養生は何か?

 
■ 太り過ぎではなくても糖尿病の警戒が必要
  糖尿病は肥満病ともいわれる。欧米では確かにそうだが、日本では肥満していない患者も多い。「日本は非肥満の糖尿病が多いので有名です」と、井藤英秀喜・東京都老人医療センター内分泌代謝科部長は言う。
  この意味は二つある。第一に、太りすぎなくても警戒がいる。第二に、少しの肥満が日本人には影響し得る。「自分に大事な養生は何か?食事運動ストレスか?医師と話すこと」と松岡副院長は助言する。肥満による糖尿病なら、必死に減量に取り組むに値する。進行すれと、太れなくなる人も多くなる。脅すわけではないが、「減量を」と言われるうちが花だ。