スペースシャトル「コロンビア」で、向井千秋さん(43)と一緒に宇宙飛行をしたイモリが胃潰瘍や肝臓障害になっていたことが、文部省宇宙科学研究所の山下雅道助教授らの研究でわかった。 狭い水槽に閉じ込められ、無重力状態にも耐えなければならず、ストレスが原因という。向井さんのお供をしたイモリはメスばかり4匹。2匹は宇宙で死亡し、2匹が2週間余りの飛行を終えた。
見た目は元気だったが、解剖したところ、1匹は胃潰瘍で胃壁に穴があく寸前。もう1匹も肺の粘膜が傷ついていた。
しかも、肝臓に障害を起こしており、細胞内の「仁」という部分がちいさくなってうえ、たんぱく質を合成する部分が傷ついていた。 1990年に旧ソ連の宇宙科学ステーション「ミール」に滞在した、アマガエルも肝臓のたんぱく質合成機能に障害を起こした痕跡が見つかっている。 山下助教授は「地上のイモリで、こんなに肝臓細胞が傷むことはまずない。胃潰瘍などの原因が、ストレスであることは間違いない」と話している。
宇宙イモリの胃の顕微鏡写真。胃潰瘍で胃壁が傷み、穴があく寸前(中央の白い部分) 宇宙開発事業団提供