健康食品にも注意必要だ!!

科学的な裏付けのない健康食品がまかり通る
丹羽靱負・土佐清水病院長:活性酸素で死なないための食事学(廣済堂出版)から


 科学的な裏付けのない健康食品がまかりとおる

  以前から核酸の含有されている健康食品、また、レシチンを大量に含有して健康食品がよく販売されております。
  これを製造しようとした業者の人は、発癌、奇形の原因の大半は、環境汚染によって発生した活性酸素が細胞核の核酸を破壊したため生まれることに目を付けたのです。それならば、無傷の核酸を外部から補えば、健康に生きていけるだろうと考えたから、核酸の製造、さらに販売が始まったもの考えられます。一見この発想は科学的なように思えますが、少し学問、生化学の実験をさらされた方には、後述しますように、非常に短絡的で一次元的な、浅はかな思考であることがお判りになると思います。
  また、レシチン(化学式名では、フォスファティディル・コリン)が売られている根拠には、これも私がよく医学論文で申しておりますように、活性酸素や過酸化脂質が細胞や組織を攻撃する時には、人間や動物の健康な細胞の膜の所で発生して、これを破壊します。即ち、組織、臓器の破壊は細胞膜から発生するのです。これは事実なのですが、対処の仕方として、細胞膜の原料であるレシチンを補えば、傷付いた細胞膜が修復して炎症が増悪、波及しないという、これも非常に単純な考え方なのです。
  以上二つの考えかたに幼稚であるかについて説明いたしますと、人間の体というものは、そんな1+1=2になるような単純なものではないのです。口から摂った核酸、口から摂ったレシチンが、そのままの形で胃から吸収され、血液から流れて行って細胞膜、あるいは細胞の中央の核の遺伝子の所へまで到達して、しかも私達が破れた障子の紙を修復するように、その破壊された位置に入ってきて、そのまま破壊された細胞膜や核酸に替わって機能を発揮出来るようになるという、人間の体は、そんな簡単なものでは決してないのです。口に入れば、核酸もレシチンも即座に胃液のpH1の強酸で破壊されてしまい、血中に入った時には、分解されたペプタイド以下のアミノ酸のレベルで血中に浮遊していると考えられます。もう核酸、レシチンの面影などはすでに血液中では失われてしまっているのです。
  こういう小学生的な科学の発想から造った健康食品が、一般で盛んに大手を振って販売されているから、いつまで経っても真の科学者、医療従事者から健康食品は相手にされないのです。