癌や老化、動脈硬化につながるメカニズムを探る |
はじめに…本号では「活性酸素が体をどのようなメカニズムで障害するか」、次号では「悪玉活性酸素を除去する方法」について詳述します。少々難解であるかもしれませんが、健康管理に役立つこと、請け合いです。 |
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Q1… 酸素がなぜ悪いの?「活性酸素」ってどういうもの? |
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A…「酸素」は大切なものです。私たちは呼吸することで空気を肺に取り込み、肺で空気の中の酸素を血液中に取り込んで全身の細胞に配給しています。けれども私たちの体が酸素を使う過程で、その酸素が時に、通常の酸素より反応性の高い「活性酸素」というものに形を変えることがあります。体内で、酸素からつくり出される活性酸素は4種類あり、 @スーパーオキシド Aヒドロキシルラジカル B一重項酸素 C過酸化水素(いわゆるオキシドール) です。下図の上の二つ(スーパーオキシドとヒドロキシルラジカル)の「電子配置図」では、それらの活性酸素では、対になっていない孤独な電子(不対電子と言う)が1個ずつあることがわかります。そういう不対電子を持つ物質を、「フリーラジカル」と言いますが、フリーラジカルには、その不対電子が対に戻りたがるために、別の物質から強引にでも電子を奪いがちになるという性質があります。
他の物質から電子を物質から奪うことを他の物質を「酸化」すると言います。スーパーオキシドなどの物質については、より酸化活性が高い酸素という意味で、「活性」酸素と呼ぶわけです。 |
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Q2…酸素がなぜ悪いの?酸化力が強すぎることが問題… |
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A…活性酸素は、人間の体内で、例えば、細胞の中で発生したり、あるいは白血球の一種である「好中球」が、細菌などをやっつけるためにわざわざつくり出していることが確認されています。活性酸素は、生体がエネルギーをつくる過程で必然的に発生するものでもあり、細菌を殺すためにも使われるなど、必ずしも悪さを働いてばかりではありません。 しかし、他の物質を酸化する力が、あまりに強すぎるのは問題で、活性酸素は酸化力が強すぎて、あまりに酸化してほしくないものまで酸化してしまいがちなのです。 |
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Q3…諸病の根元は「活性酸素」の作用。活性酸素によって、DNAが酸化されて癌が発生する? | |
A…活性酸素にしても、またフリーラジガルにしても、困るのは「酸化力」が強すぎることであると説明してきた。では、酸化されると具体的にどう困るのでしょう? |
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吉川助教授によると、まず懸念されるのは、「癌」や「老化」との関係であるらしい。人間の体の中で、酸化されるどころか、ほんのわずかの傷もついてほしくないものの代表格は、DNA(遺伝子)です。DNAが変化すると、体そのものや体に必要な蛋白質をつくる暗号としての意味がかわってしまい、突然変異が引き起こされたり、癌が発生したりするからです。 ところが、活性酸素やフリーラジカルは、その活性酸素の高さにより、大事なDNAを構成する分子から、電子を奪ってしまうこ |
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とがあると考えられます。電子を奪う≠ニは、「DNAの分子と活性酸素などが結合すること」を意味しています。その結果、DNAの形が変わって、その暗号情報が壊れる、つまりDNAが障害を受けてしますのです。 そして、DNAの障害が癌を発生させる最初の引き金であることは、医学的にも広く認められています。 |
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Q4…諸病の根元「活性酸素」の作用。老化との関係も疑われている? |
A…実は、活性酸素やフリーラジカルは、微量であるうえに活性が高く、すぐに他の物質と結合したりして形を変えてしまうので、体内にある状態で量を測定することは極めて難しいようです。しかし、吉川助教授によれば、「今わかっているのは、体内で活性酸素がたくさんつくられるようになると、老化が進むこと、体内の活性酸素を消去すれば、老化が遅れることです」 人間をはじめとする生物に老化という現象が起きるのは、「遺伝子に老化プログラムがあらかじめ組み込まれている」という説と、「何らかの老化物質が蓄積して起きる」という説があります。吉川助教授のお話は、どの説が正しいにせよ、「活性酸素やフリーラジカルが、老化物質そのものであるか、あるいは老化遺伝子を発現させるきっかけになっているのではないか。活性酸素やフリーラジカルが老化のポイントになっているのではないか」という考え方に基づいています。 |
Q5…諸病の根源「活性酸素」の根元。動脈硬化、心筋梗塞の引き金にもなっている? |
A…またさらに、活性酸素やフリーラジカルは「動脈硬化を引き起こす重要な引金物質である」という疑いも強まってきました。 近藤室長は、近年明かになった動脈硬化の生成メカニズムについて、「悪玉LDLが常に供給過剰状態で、組織の中に出たり入ったりしていると、その過程でLDLが酸化されて酸化LDL≠ノなる。そしてその酸化LDL自体や、酸化LDLを異物と認識して取り込んだマクロファージ(貧食細胞)などが血管の壁の内臓の中に堆積して、動脈硬化に至る」と、語っています。悪玉LDLを酸化する物質として最も疑わしいのは強い酸化力を持つ活性酸素やフリーラジカルです。 以上のように、活性酸素やフリーラジカルの強い酸化力による害は、計り知れないほど大きいのです。癌の発生や動脈硬化の生成以外にも、各種の消化器病などとの関係も明かになりつつあります。病気の予防上、活性酸素やフリーラジカルに対する対策をとることが、極めて重要なことになってきています。 |
Q6…活性酸素やフリーラジカルの脅威から身を守るための注意は? |
A…活性酸素とフリーラジカルの脅威から身を守るために、私たち一人ひとりの体の中には、あらじかめ活性酸素やフリーラジカルに対する防御システムが備わっています。 例えば、体中のすべての細胞内には、スーパーオキシド(活性酸素)対策として「スーパーオキシドディスムターゼ(活性酸素分解酵素=SOD)」という酵素があり、スーパーオキシドを過酸化水素と水に変えます。過酸化水素も活性酸素であり、有害物質ですが、その対策にも各種酵素が容易され、過酸化水素を無害な水にかえてしまいます。 このように、活性酸素やフリーラジカルを直接退治する「抗酸化酵素」のほかにも、酸化されたDNAや酸化LDLを「修復する酵素」などもあります。 これらの事実から推測できることは、体の調子を順調に保っていれば、あとは不用意に活性酸素やフリーラジカルを、体内で大量に発生させたり、あるいは外から取り込んだりしなければ、大丈夫ということです。 活性酸素などが、通常の量を超えて大量につくられるのは、急に長時間の過激な運動をしたり、強く日焼けしたり、放射線を浴びたりしたときであることが知られています。また、外来のフリーラジカル源になっているのは、たばこの煙や排気ガスなどです。 活性酸素などから身を守るために何をすべきかは、一目瞭然となってきます。 (丹羽博士は、「病気の90%は活性酸素が関与している」としています。活性酸素の弊害を除去については、次号で掲載します。) |
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