ホームBOOK紹介 > 「医者が教える食事術」 〜ちまたの健康法はウソだらけ!〜 牧田善二 医学博士
 

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『医者が教える食事術』
〜ちまたの健康法はウソだらけ!〜

牧田善二 医学博士 著

 

 
   今回は、巷で話題のベストセラー『医者が教える食事術』(ダイヤモンド社)他、一冊をピックアップ。ここ数年、栄養学や食事療法の常識が大きく変化しているといわれる中、話題の糖質制限など、食事と病気に関する健康情報を紹介します。
 
   中性脂肪、血糖値を上げるのは糖質(炭水化物)だけ
 
   『医者が教える食事術』の著者、牧田先生は糖尿病専門医として38年間、のべ20万人の患者さんを診てきました。この本にはその経験で分かった本当に正しい食事法というのが紹介されています。まず先生が言うには、今の40歳前後のビジネスパーソンには健康格差があると。100人の40代働き盛りの人を集め、その中で100歳くらいまで元気で長生きできるだろうと思われるのはたったの2割、残り8割の人は定年までに命にかかわる病気に見舞われるだろうと。
   「このような健康格差を作り出しているのは間違いなく日々の食事≠ナす」と言い切ります。
   食事なら、自分は常日頃気を使っているから大丈夫、という人も多いと思います。脂っこいもの、塩分は控え、和食を中心にしている。休みの日はジムに通い、プロテインを飲んでタンパク質を積極的に摂っている。年に一度の健康診断で血圧、コレステロール値をチェックしている。栄養を考えて毎朝シリアルを食べている。野菜不足を補うために、一日分の野菜ジュース、と書かれた飲料を飲んでいる。朝食抜きは身体に悪いからエナジードリンク(○○○インゼリーなど)を飲んでいる。などなど、健康に関する情報や商品が巷にあふれ、いやが応でも健康に気を使わざるを得ません、ところが牧田先生は、これらの情報のほとんどは間違っていると言います。
   「ダイエットのためにカロリーや脂肪を制限している人がいますが、今の医学の常識では、肥満の原因は糖質であって、カロリーや脂肪は関係がありません」
   そして、肥満、老化、病気≠フすべてに対処するためには血糖値が大事だと。よく健康番組などで最後に、要はバランスの良い食事が大事、とコメントテーターが言いますが、どんなあいまいなものではなく、いかに血糖値をコントロールするかが大事だと言います。その血糖値を上げる元凶は糖質だと断言しています。糖質とは炭水化物。つまり炭水化物の食べ物が血糖値を上げるということです。
   「なかでも悪性度ナンバーワンの糖質は、缶コーヒーや清涼飲料水、ジュース類、エネルギーチャージ飲料」
   なぜこれらがいけないかというと、砂糖たっぷりの液体だからだそうです。ごはんやパンなども炭水化物ですが、これらは固形物で、胃の中で消化に時間がかかりますが、液体は胃を簡単に通過してすぐに小腸に届いて吸収され、血糖値を急激に上げるというのです。運動部の中学生がスポーツ飲料を毎日2リットル飲んでいたら重度の糖尿病になったという例もあるそうです。最近はこのような清涼飲料水やお菓子を過剰摂取するせいか、若い世代にも糖尿病発症が多いと聞きます。
   糖尿病といえば血糖値。血糖値が高いとおのずと糖尿病のリスクは高まります。
   糖尿病とは、血糖値が高くなって起こる疾患です。健康な人は血糖値が上がればそれを下げるために、すい臓からインスリンが分泌されて糖尿病にはなりませんが、糖質を摂りすぎて常に血糖値が高いと、インスリンが分泌されにくくなります。その状態を糖尿病といいます。糖尿病患者数は、生活習慣と社会環境の変化に伴って急速に増加。ひとたび発症すると治癒することはなく、放置すると網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こし、末期には失明したり透析治療が必要となることがあります。さらに、糖尿病は脳卒中、貧血性心疾患などの心血管疾患の発症・進行を促進することも知られています。今後も高齢化にしたがって増大するものと考えられます。(厚生労働省HPより)
   つまり、糖質の摂り過ぎはあらゆる病気の元になるというわけです。なかでも特に気をつけたいのが、缶コーヒー、ジュース、清涼飲料水の類だということです。
   「糖質悪性度ナンバー2は、ケーキやまんじゅうなど、糖質の入ったお菓子。ナンバー3は、果物です。果物はビタミンも豊富ですから先のふたつよりはまだましですが、今の果物は糖度が高く改良されていますから要注意です。続いてナンバー4は、白米、パン、うどんなどの白い炭水化物です」
   ここで白米、パン、うどんなどが出てきました。丹羽先生も白米、パンなどは糖尿病に良くないと言います。その理由として、「昔の人はごはんやもち、まんじゅうなどをよく食べていましたが、貧しかったから量はそんなに食べていなかった。おまけに野良仕事をしてよく体を動かしていた。今の人はほとんどデスクワークで体を動かさないうえに腹いっぱいごはんを食べる。デザートも豊富。そりゃ糖質オーバーになる。糖尿病も増える」と言います。
   牧田先生も、「ごはんやパンを一切食べるなとは言いませんが、量は減らしましょう。ごはんなら玄米。菓子パンは控えましょう」と著書で述べています。
   そして、これまで肥満の根源と言われてきた脂肪については、次のように述べています。
   「脂肪はカロリーが高いから太ると言われきましたが、肥満の犯人は糖質です。脂肪ではないのです。中性脂肪というのは、脂肪のことではなく、糖質が体内で蓄えられるときにできるものです。食事がとれずに血中のブドウ糖が不足すると、まずは肝臓や筋肉の細胞に取り込まれていたグリコーゲンがブドウ糖に戻されエネルギーになります。それがなくなれば次は脂肪がエネルギーとして使われ、中性脂肪がエネルギーになるのは一番最後なのです」
   だから、お腹にため込まれた糖質からできた中性脂肪はなかなかなくならない。糖質を摂り続ける限りポッコリお腹は引っ込まないというわけです。
   この本には、他にも、ごはんと漬物、味噌汁といった和食の基本は、塩分と脂質が多く、和食=健康食とは限らないとか、牛乳は発がん性が疑われるているから豆乳がいいとか、たしなむ程度のお酒(ウイスキー、焼酎などの蒸留酒とワイン)は身体に悪くない、プロテインの過剰摂取は腎臓を壊す、など食事に関する知識が満載。自分は健康管理や食生活に自信があるという方も、要注意。シニアほど糖質に気をつけたいとも言います。糖尿病の専門医師が医学的エビデンスに基づいて書いたこの一冊、中性脂肪が高めの働き盛りの方、シニアの方にお勧めです。
 

 


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