ホームBOOK紹介 > 「不養生訓ときめきのススメ」 〜不摂生、メタボ、何でもOK〜 帯津良一 名誉院長
 

 Book 022


『不養生訓 ときめきのススメ』
〜大酒、美食、不摂生、メタボ、何でもOK!〜

帯津良一 帯津三敬病院 名誉院長 著

 

 
   大酒、美食、不摂生、メタボ、なんでもOK!
 
   今回は、川越にある帯津三敬病院の名誉院長で、がん治療にホリスティック医学を取り入れていらっしゃる帯津先生の新刊を紹介。先生は、分筆家としても才能を発揮し、数多くの本を出版されています。なかでも本書はタイトルからしてお分かりのように、最高にハッピーな気分にさせてくれる一冊。なにしろプロフィールに一升瓶のお酒を抱えた写真を載せるくらいですから、かなりお茶目です。ちなみに御歳81歳。
   同世代の丹羽先生とも交流があり、互いをリスペクトしている間柄。帯津先生は東大医学部を卒業後、外科医をしてがん手術の第一線で活躍していたのに、いちばん脂の乗っている40代で大学病院(系列も含め)を辞め、帯津三敬病院を創設しました。理由は、がんを手術で完全に取り切ったのに、数年後ほとんどの患者さんに再発してしまい、抗がん剤治療などで苦しんで亡くなられることに疑問を感じたからです。がんは手術だけでは治らない、西洋医学がすべてではないと感じ、自身の病院で西洋医学に漢方、気功、ホメオパシーなどを取り入れたホリスティック医学(体全体を診る医療)を始めたのです。
   それは西洋医療に代表される治しの医学と、代替治療が担当する癒しの医学の統合でした。
   さて、その新刊、とにかく面白いのです。大酒、美食、不摂生、メタボ、なんでもOK!と言い切る医者が勧める不養生訓とはいかに。
 
   体が要求しているものは薬だと考える
 
   先生の体験からなるこの不養生訓は、お酒好きの先生らしく、お酒と食の話から始まります。
   「休肝日はないほうがいい。さらにないだけでなく、土日は3食ともお酒を飲むことにしている。(お酒とはアルコール類全般)周囲はアルコール依存症ではと心配してくれるが、ウィークデイは晩酌だけで十分なので、依存症ではない」といいます。毎日の晩酌にときめきがあるれて、そのときめきこそが生きがいであり、最大の養生であるということです。だから、食べ物も、「好きなものを少しだけ食べる。好きなものは体が要求しているのだから、薬にあるべし」となる。体が要求しているものは薬だと言われると、生ビールやとんかつも罪悪感なく楽しめる気がしてきます。
   先生は70歳を過ぎてから、毎日が最後の晩餐さと思うようにしているそうです。そのかわりは、「患者さんが抱く死に対する不安を和らげることも私たちの仕事のひとつ。死の不安があると免疫力や自然治癒力がのびのびと働かないからである。死の不安におののく末期患者に安心感を与えることができるには、その患者より死に近いとろこに立たない限り役に立たないということになる。そこである時から今日が最後と思って生きることにしたのである」
   だからこそなおさら、好きなもの飲食するのでしょう。生野菜はキリギリスが食べるものとうそぶき、今でも食べない。糖質ダイエットなど愚の骨頂。米飯が大好きで、塩分こそ和食の枠という。塩分は高血圧や胃がんの原因になると言われてもまったく気にしないで人一倍塩分をとっている。塩昆布茶、筋子、塩辛、塩昆布、漬物はいつでも来い!と言う。
 
   メタボ?大きなお世話!
 
   メタボは気になりますか?$謳カと交友の深い作家の五木寛之が尋ねると、「メタボリックシンドロームとか、余計なお世話ですよ」
   といい、おそらく少々太めのお腹をゆすりながら、満面の笑みを浮かべたはずです。ちなみに先生のデータは、腹囲98p、中性脂肪175。全国健康保険協会の基準値からすると、立派なメタボ診断が下されます。でも先生はそんなの関係ないと言わんばかりにこう言います。毎日毎日、腹囲を気にして、2合飲みたい晩酌を1合にして、やがて死に直面して狼狽する。そんな人生送りたくない!と。そこには、気功歴45年、現役医師として毎日病院中を歩き回って診察し、フットワーク良しという自覚があるから、そして毎晩、晩酌時間で至極の極みを過ごしているから、多少の乱れは全く気にならないそうです。
   「健康とは本来、そういうものなのだろう」が先生の持論であり、多くの医師が指示している事実なのかもしれません。
   そんなメタボと同様、コレステロールも健康の敵とみなされ、盛んに悪玉コレステロール値のことが取りざたされていますが、これに関しても帯津先生は学術的観点から解説。
   「コレステロールというのは、さまざまな脳細胞や免疫細胞の細胞膜などに必要な成分で、少なすぎると機能低下に陥る。さらにホルモンの原料もコレステロールからできている。特に骨を強くする作用、血管を動脈硬化から予防する作用などを担っているエストロゲンは健康のために欠かせない物質」
   また、先生の経験から、がん患者さんの多くはコレステロール値が低いといいます。「コレステロールはこんなにも多く人体に貢献しているのである。動脈硬化の誘因、という一点だけでコレステロールを非難するのはいかがなものだろうか」
 
   医療に必要なのは治療成績ではなく温もりだ
 
   このように先生の81年に及ぶ人生の経験、60年近くになる医師としての経験、体験からつづられる話には、そうだそうだと思わず相槌を打ってしまいます。なかでも医療より癒療≠ニいう項目には、感銘を受けます。
   「がん治療の現場から医療本来の温もりが失われて久しい。がんの治療成績を向上させるためには、早期発見の上昇でもなければ新薬の発見でもない。医療の現場が本来の温もりを取り戻すだけでいいのである」
   まさに医療より癒療。先生はこのことを20年以上叫んできました。医療現場に身を置くすべての人々が相手の生きる悲しみを敬いあえばいいのであると。
   「ところがこれがなかなか手強い」
   なぜなら、人間性を一切問わない入学試験と、医師国家試験合格至上主義の医学部教育にその原因がると言います。
   「決してあきらめない」
   どこまでもこの道を歩み、言い続けると強く書き記しています。
   先生は晩酌こそがと言いますが、そう言いながら、根底には温もりのある医療、ホリスティックな医療に日本の医学界が向かってくれることを願い、実践することを生きがいにしているのだと思います。温かく、大きく、そして微笑ましい一冊です。
   食生活の管理や検査の数値に一喜一憂している方、今の医療に疑問や不安を感じている方、健康に自身がない方、健康だけど将来が不安な方、ぜひともこの本を手に取ってみてください。
 

 


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