ホームBOOK紹介 > 「やってはいけない手術 飲んではいけない薬」 〜医療特集が話題に〜 週刊現代
 

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『やってはいけない手術 飲んではいけない薬』
〜医療特集が話題に・・・シリーズの想いとは〜

週刊現代

 

 
   数年前から週刊現代の医療のタブーに切り込んだ特集記事が話題になっています。最近では、駅の売店で医療特集のある号はあっという間に売り切れるとか。さらに医療現場では雑誌や記事のコピーを医者に見せて詰め寄る患者さんも増え、医師たちの間でも困惑が広がっているそうです。書店でも売り切れ続出で、バックナンバーによっては中古市場で定価430円が1000円以上の値段がついて売られているものもあります。
   どうしてそこまで話題になっているのでしょうか。
   例えば「有名医師が実名で語り合う日本のタブー手術と薬の真実=i2016年10/29号)」
   これは、『不要なクスリ 無用な手術』の著者、医師でありジャーナリストの富家孝さんと、心臓外科のトップドクター南渕明宏さんが対談形式で語っている記事です。冒頭で週刊現代の記事が話題を呼んでいる理由の一つには医療に対する不信感の高まりがあるのでしょう、と話されています。
 
南渕   これまで、日本人は「薬は本来、危ないものだ」という大前提をまったく意識してきませんでした。医者に言われたら、そのまま飲む。保険が効くから薬代も安く、財布も傷まない。だから、危険性や経済性を意識しないで適当に飲んでいる人が本当に多い。そういう姿勢を問い直す意味で、週刊現代の特集には大きな意義があったと思います。
富家   その通りですね。薬を飲むにあたっては、まずは次の3つを認識すべきです。(1)どんな薬にも副作用があること。(2)ほとんどの薬は病気の症状を緩和するもので、疾患そのものを治すものではない。そして、(3)製薬会社が薬を作って売るということは、慈善でもなんでもなく厳然たるビジネスだということです。
南渕   薬は副作用がほとんどない、便利なものと信じている人がいますからね。人間がこれまで体内に入れたことがないような化学物質を飲むわけですから、体調や脳の働きに影響するのは当たり前でしょう。
   冒頭から薬とは何か、を率直に問う話。高血圧、糖尿病、高コレステロールの薬はほとんどの人が必要ない、検診ビジネスで病気が作られる、無用な手術で死んでいく人、というように、次々とこれまでの常識だった医療の現実が覆されていきます。この「日本のタブー」というのは、シリーズ化され、たってはいけないがん手術や、大学病院よりホントは怖い(大量の薬を処方する)町医者など著名な医師たちの告発が続きます。
 
   ほかにも、シリーズで人気なのが「医者に言われても受けてはいけない手術、飲んではいけない薬」です。このシリーズは、タイトルの頭に「もっと知りたい」がついて20回ほど連載が続きました。さらに「医者が患者に教えない不都合な真実」や「100人の医者が答える、飲み続けてはいけない薬、やってはいけない手術」「まだその手術を受けますか、まだそんな薬を飲みますか」というように次々とシリーズは続いています。
   「あなたは薬を誤解≠オている」(2017年5/27号)の号では、サブタイトルになった「薬を4種類以上出す医者は信用しないほうがいい」という電車の中刷り広告だけで、患者さんが医者のもとに殺到したといいます。記事には飲んではいけない薬の名前が大きく列記されていることから、自分の飲んでいる薬が危険だと言わんばかりに患者さんが医者に詰め寄るのもうなずける話です。
   一番近い記事で興味深いのは「60歳以上の名医が語る、自分では受けたくない手術」(2017年9/16号)です。この記事は、60歳以上の医師が語っていることが大きなミソです。というのも、若いときは血気盛んで様々な手術を積極的にしてきた外科医が、歳を重ね、経験を重ねていくにつれ、身体に傷をつけて負担のかかる手術はできるだけ避けるべきと考えるようになったことです。時代というものもあったのでしょう。昔は、西洋医療の花形は外科手術で、手術が全盛だったと言います。今、ベテラン医師たちは、手術後の合併症リスクや、QOL(クオリティオブライフ)を考慮すると、手術はしないほうがいい、受けたくないと言います。特に、膵臓がん、食道がん、腰痛、前立腺がん、足壊疽、摂食、嚥下障害などの手術は受けたくないそうです。
   そして、やはり、飲みたくない薬も記されていました。高血圧の降圧剤類、糖尿病のSU剤類、高コレステロール、脂質異常症のスタチン剤類、認知症、骨粗鬆症、リウマチ、花粉症、うつ病、頭痛などの鎮痛剤。とくにみなさん必ずおっしゃるのが、継続しないこと。飲み続けないことでした。
   そこには、患者の命を真剣に考えない今の医療現場を憂う、ベテラン医師たちの想いがありました。
   週刊現代の医療特集は、あまりにも反響が多く、医師たちからの反論もたくさんあります。記事のすべてが正しいとは言えないかもしれません。しかし、周囲のお年寄りが、ただみたいなものだから、医者が飲めっていうから、という理由で大量の薬を抱えて薬局から出てくるのを見るにつけ、いらない薬があるのでは?と思ってしまいます。大事なのは、まず知ることかもしれません。
 

 


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