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『がん治療の95%は間違い』 〜セレブでさえ次々に死亡。なぜか?〜
近藤 誠 (元慶応義塾大学医学部放射線科講師) 著

 

 
   セカンドオピニオン外来を訪れた5千人の事実!手術、抗がん剤投与という間違い
 
   今回は、このコーナーでもたびたび紹介してきた近藤誠先生の新刊を紹介します。近藤先生と言えば、『患者よ、がんと闘うな』を始めとした、乳がん温存療法のパイオニアとして、抗がん剤の毒性、拡大手術の危険性など、がん治療における先駆的な意見を私たちにもわかりやすく発表してきました。また、その功績から2012年には文学、芸術などの社会的功績者に与えれる『菊池寛賞』を受賞。先生が言う「がん放置」「抗がん剤は毒薬」に対し、医学界やその関係者などから大きなバッシングがありましたが、先生が発表する本は軒並みベストセラーを記録。『医者に殺されない47の心得』は実に100万部を記録。どんなにバッシングされようが、世論が先生の真実を支持した形となりました。
   そんな近藤先生は、2014年に30年余りもの間勤務した慶応大学医学部放射線科講師を退職し、同年から「近藤誠セカンドオピニオン外来」を開業しました。開業してわずか1年余りで、近藤先生のもとには5000人以上の相談者が訪れています。その95%以上のケースで、受けないほうがいい治療を医者から勧められているといいます。この本は、そんなセカンドオピニオン外来の、がんを中心とする患者さんとのやりとりをまとめたものです。まさに現場の今の声が詰まった一冊といえるでしょう。
 
   がんが発覚する検診から手術までの過程はまるでベルトコンベアーのよう
 
   先生は冒頭でこのようなことを書かれています。
   人は、ある日突然、がんになります。例えば人間ドックで、肺や胃に「何か影が見えます。専門医のいる病院に行ってください」と言われ愕然とする。紹介された大学病院やがんセンターでは、初対面の医師に「肺がんですね」「おそらく胃がんでしょう」などとズケズケ言われ、フルコースの精密検査を予約させられ、入院と手術の日を指定されてしまう。
   僕の外来に来られた患者さんは「まるでベルトコンベアーのようだった」「野戦病院みたいだった」と口ぐちに語ります。
   しかし悲しいかな、初めてのことだし、知識が乏しいので、がんと宣告されたショックのあまり言葉を失うことも多く「放っておくと、がんが広がり、転移します」「手術しなかったら余命半年です」などと言われ、目の前が真っ暗になる、というのが現在のがん治療の実態なのです。
   勇気をふるって「別の病院でセカンドオピニオンを聞いてみたい」と申し出る患者さんもおられます。ところがどの病院を訪ねても、示される方針は最初の病院と五十歩百歩。僕はこれを「金太郎あめオピニオン」と名付けました。日本の大病院のどんな医者も、自分の治療を受けた人しか診ていません。がんを放置した人がどうなったかは、追跡調査などしていません。なのになぜ余命期間を知っているのでしょう。
   僕は、慶応大学病院時代から今日に至るまで、種々のがんを放置した人を何百人と診てきました。また、お決まりのがん治療を受けた人もたくさん診てきたので、治療したらどうなるかもよくわかっています。そのため、患者さんが医者に言われた余命期間がウソだ、とほぼ確実に言えます。
   残念ながら、医者が清廉潔白で正直だというのは、がん治療の世界では夢物語です。若手から有名医まで、患者にウソをついて脅したうえで治療に持ち込む「恫喝医療」の実践者とみて間違いありません。また、95%以上のケースで、受けないほうがいい治療を勧められていることもわかりました。
 
   手術と抗がん剤は確実に命を縮めるセット
 
   本書では、上記のことが、なるほど、事実なんだと納得できる様々な患者さんとのやりとり、様々ながん症状例がレポートされています。胃がん、食道がん、大腸がん、肺がん、甲状腺がん、肝臓がん、胆管がん、すい臓がん、前立腺がん、膀胱がん、腎がん、乳がん、子宮頸がん、脳腫瘍などなど。その表題をここにいくつか紹介しましょう。
 ・医者から「医を全摘」と言われても、実際は必要ないことが多い。
 ・進行がんでも手術をしなければ、すぐに死ぬことはない。
 ・抗がん剤に「よい」もにはひとつもない。
 ・「何の症状もないのに食道を全摘と言われました」医者の言う「余命半年」は抗がん剤を打った場合。
 ・「大腸ポリープはがんになる」は大間違い。
 ・手術によって転移が広がるケースが多い。
 ・手術後に亡くなる人の多くは、がん死ではなく治療死。
 ・健康診断をうけるほど寿命は縮まる。
 ・健康診断でみつかったがんは日常生活に支障がない限り、完全放置がいい。
 ・抗がん剤は確実に命を縮める。手術をすると命が縮まる。
 ・手術をするとがん細胞は爆発的に増える。
 ・転移がんがあっても長生きできる秘訣とは。
 ・がんには「放っておいたら転移する」という性質はない。
 ・マンモグラフィで発見できるのは「がんもどき」だけ。
 ・なぜ医者は無意味な検査を勧めるのか。
   この表題だけではなかなか納得できない方、また、医者の言っていることと違いすぎる、と思われる方は、ぜひ本書を手に取ってみていただきたいのです。
   例えば、会社の定期健診で再検査が出て、内視鏡検査を受けたところ胃がんが発見された50代の男性の場合です。大学病院外科医の診断は粘膜にとどまる早期がんで直径が5センチ以上あるから、内視鏡手術では取り残す可能性があるから胃の3分の2を切除する手術と言われたそうです。この相談に対して近藤先生は、「おかしいな、がんが胃の上部にできているから通常は全摘のはず。それを部分切除と言って患者を安心させて、手術をしたら、予想以上にがんが広がっていたので全摘しましたと言うかもしれませんね」
   患者さんは、全摘されたら食事もろくにできないから困ると。「部分切除でも後遺症は相当なものですよ。衰弱死もありえます」
   そこで先生の勧める治療法は、「治療を受けないほうがいい。がんという診断を忘れて日常生活に戻ったらいい。これはがんもどきだから進行がんにはならないです」
   患者さんは医師にがんもどきかどうかを聞いたそうです。そうしたら、悪性の本物のがんだといわれたと。「私の定義した本物のがん≠ヘ転移がひそんでいる≠ニいう意味。あなたのは99%がんもどき」
   5センチもある大きながんが、放っておいても大丈夫ながんもどきとは素人には想像つきにくいことですが、「逆に5センチになっても細胞の粘膜内にとどまっているということは、粘膜より深部入り込めない性質なのです。本のがんは(5センチになる前に)とっくに粘膜からすぐに深部に入り込みます」
   なるほどです。
   がんと診断され、手術を勧められる、今の医療体制のなかにいれば、大半がこのような患者さんです。知人、親戚の中にも、会社の定期検診で、という話はたくさん聞きます。そして、ほとんどの人がベルトコンベアーに乗せられるがごとく、手術をして、抗がん剤治療をして、検診前は元気そのものだったのに、あっという間に亡くなってしまうのです。
   近藤先生は、そのことを患者さんに納得いくまで、わかりやすく真摯に説明してくれています。そして、たとえ先生も本物のがん≠ニ診断された患者さんに対しても、手術、抗がん剤治療をしないで済む、いろいろな方法を提示してくれています。例えば、先生が大学病院時代に専門だった、放射線治療がそのひとつです。しかし、この治療法も、病院、医師によって専門知識のずれや勉強不足があり、危険を伴うと言います。
   いの入り口に盛り上がっている進行性のがんで、食事の通りが悪く、固形物は食べられないという状態の患者さんです。手術をしたくないといい、先生が勧めたのが放射線治療でした。
   「従来、胃がんには放射線治療は効かないと言われてきましたが、それは経験不足や知識不足。ただ、すべての胃がんに効くわけではなく、スキルス胃がんのように、がんが胃壁のなかを横のほうに広がっていくものにはたいてい無効です。このようにこぶ状に盛り上がったものには効きやすい。しかし、問題がいくつかあります。まず、放射線治療医も胃がんについての知識がなく、断られる場合があります。さらに外科医は手術をしたがりますから、あなたのほうから放射線治療を強く迫る必要があります。次に、放射線をかけすぎるととても危険です。胃の正常組織は放射線感受性が高く、穴が開いて腹膜炎になったり、大出血して亡くなる可能性があるのです。1回(1日)の線量は2グレイで、週に5回、4週間続ける。総線量は40グレイ。これなら安全です。抗がん剤との併用は禁忌(避けるべきこと)です」
   患者さんのなかには、近藤先生の指示どおりに放射線治療を受けたのですが、医者から、この線量では効果がないと言われ、勧められるままに強い線量にして亡くなった方もいるとか。
 
   マンモグラフィで発見されたがんは再発もたいした進行もしないがんもどきだけ
 
   最後は先生の専門だった乳がんです。というのも、盛んに言われている検診は本当に必要なものなのか、そのことを知りたかったからです。丹羽先生は、マンモグラフィやCT検査の放射線量が危険だと言いました。近藤先生は、放射線量云々の前に、そもそもマンモグラフィ検診でしか発見されないがんは、がんもどき、放っておいても進行、転移しないから、手術もなにもいらない、と言います。乳がんで死亡する確立はゼロだと。さらに欧米ではマンモグラフィ検診の無効性と有害性が広く認識されるようになっているそうです。スイスなどはマンモグラフィ検診の廃止勧告をしているそうです。
   先生によると、早期発見、早期治療というけれど、この40年余りの間に乳がんの発見数は10倍近くにも伸びたけれど、死亡数はほとんど変わらない。これは国立がん研究センターの調べによるもので、間違いないものです。先生いわく、早期発見に意味がるなら、死亡数は大幅に減っていなければいけないのに、変わらない。これはほかの胃がん、前立腺がん、子宮頸がんなどでも言えることだそうです。地方で死をもたらすがんは、発見前に運命が決まっていると言います。乳がんに関すると、死亡数がやや増加傾向にあります。これは、
   「僕は、この乳がん死亡数の増加は、70年代から盛んに使われ始めた抗がん剤の影響だろうと睨んでいます。しかも術後の補助化学療法の内容も、以前に比べてどんどん強力になっている。乳がん治療を受けて亡くなったがん患者(検診による発見)のほとんどは、死の直前まで抗がん剤を使われていますから、治療死をしかいいようがない。ところが治療死という項目がない統計では、乳がんによる死亡として扱われるのです」
   著書のなかで、先生は、患者さんに、こんなことをたびたびおっしゃっています。
   @がんと診断されたことを忘れる。A検査を受けない。B医者に近づかない。という3原則を守ることです。そして何か生活の質を落とす重大な自覚症状が出たら、改めて検査を受けて対処法を検討するといいでしょう。
   そこかほっとする一言です。他にも、降圧剤を飲むと、死亡率が上がる話、インフルエンザワクチンは百害あって一利なし、メタボ検診で多くの人が早死にしている、といったコラムも必読です。さらに病院関係者でなければわからない、大学病院や大病院の医師を製薬会社の癒着で生まれる有害な薬たちの話など、背筋が寒くなる怖い話もしっかりと書かれいます。
 

 


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