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 Book 002


『病気にならない生き方』 〜その2〜
病気の根源は、食事、食品にあった

 

 
   Book 001でご紹介したアメリカのアルバート・アインシュタイン医科大学外科教授の新谷弘実先生の本「病気にならない生き方」。
   世界で初めて開腹手術をすることなく内視鏡でポリープを切除することに成功した胃腸のオーソリティ。その新谷教授は、いまも臨床医として数多くの患者さんと接しています。そして、その中から現代医療に対する疑問や、常識とされてきた食事、食品が実は病気の根源だったことなど、数多くの真実を追求してきたのです。
「医学は日々進歩しているのに、なぜ病気で苦しむ人は減らないのだろう」
   という疑問から何十年もの調査の結果、「どのような食品をのくらい摂り、どのような生活習慣を持っているかと言うことが、その人の胃相、腸相(注・人相になぞらえた先生の造語)、さらには健康状態と密接に結びついていることがわかってきました」と言います、そして、「これまで医療機関では、糖尿病等の食事制限を必要とする一部の病気では食事指導が行われてきましたが、それはあくまでも病気をそれ以上悪化させないためのものにすぎません。病気にならないとめの食事指導、健康に長生きするための生活習慣指導は、医療の盲点と言っていいほど見過ごされてきた部分です」
   医療の盲点から病気になるメカニズムまで食事と重要なつながりがあると言います。「本来、人間の体というのは、病気にならいように、何重もの防御システムや免疫システムに守られています。ですから、過度に不自然なことさえしなければ、多少のことがあっても病気にならないはずなのです。その本来病気にならいようになっている私たちの体を、病気にしてしまっている最大の原因は、長期にわたって少しずつ蓄積された不自然な食事と不自然な生活習慣にあります。多くの人は、人間にとって何がよい食べ物で、何がよくない食べ物かを知らないために病気になってしまっています」
   パート2実践編では、何をどのようにして食べ、どのように生活すればいいのかといったガイドが記されています。
   氏の提唱する、健康に長生きするために必要な「正しい食事」「よい水」「正しい排泄」「正しい呼吸」「上手な休息、睡眠」「笑いと幸福感」。これらを念頭においてこの本の一部をご紹介します。
 
   伝統食はなぜ体にいいのか
 
   パート2でもドキッとするのは、やはりこれまで常識とされてきた食品が、実は、なるほど、という事実です。それらの目次より抜粋してみましょう。
 ・インド人がガンジス川の水を飲めるのはなぜか
 ・工場由来の食品に命は宿っていない
 ・ビニールハウス製野菜に欠けている大事な部分
 ・トランス脂肪酸の恐怖
 ・電子レンジに抱く一抹の不安
 ・白い食品(白米、白砂糖、精製塩)は体によくない食品
 ・食品添加物の危険
 ・低体温の人はがんいなりやすい
 ・便、尿、汗は毒素を排出する大切な仕組み
 
   またしても目から鱗のお話が盛りだくさん。工場排水、洗濯水、糞尿などが垂れ流しのガンジス川の水、確かに私たちが飲めばその場でいどい下痢を起こすでしょう。しかし、インド人は平気です。
「しれは、彼らが毎日自然の抗生物質≠大量に摂取しているからだと考えられます。インド人が主食にしているカレーには、薬効成分を持つ香辛料や野菜がたくさん使われています。それらを毎日食べることでインド人は自らの免疫力を高め、過酷な自然環境のなかでも健康を維持していたのです。沖縄も、豚肉を大量に摂取しているのに長寿が多いのは、余分な油を落とす伝統的な調理法や、石灰質の大地から湧くミネラルたっぷりの水、太陽の光をふんだんに浴びた野菜、果物のおかげなのです。このように伝統食には先祖代々受け継がれてきた、その土地で人々が健康に生きるための知恵が盛り込まれているのです」
   物も情報もなかった時代の食生活、伝統食に比べ、今は物も情報も多すぎます。私たちは、その中から本当にいいものを選ばなければならないのです。
 
   食材の選び方 〜大地からの食、動物からの食、化学からの食〜
 
   ではそのいいもの悪いものの区別はどのようにつければいいのでしょうか。
「食べ物というのは、野菜も動物も、みんな命の集合体なのです。しかし、現代の栄養価とカロリー中心の栄養学は、腐ったもの、死んだ食品でも、生きたものと同じカロリーだけでとらえています。今日、私たちが口にする食べ物は、その由来から3種類に分類することができます。ひとつは野菜、穀物、海藻、キノコ類などの大地、二つ目は牛、豚、鶏、乳製品、魚介類などの動物、三つ目は人間が科学的に作った工場食品です。工場のものは、化学調味料、食品添加物、精製されたもの、人工甘味料と、それらのものが使われている加工食品です。大地はいくら食べても大丈夫。動物も量を控えれば大丈夫。しかし、工場由来のものは食べる必要はありません。なぜなら、工場で作られたものに命は宿っていないからです。工場由来のものは食べ物であっても、命を養うことはできないのです」
   以前、ここでも紹介した「食品の裏側(安部司著)」のことも新谷教授は取り上げ、添加物の怖さを強調しています。
   さらに、つい先日、ミートボール社が牛肉偽装事件で世の中を騒がせたように、加工食品に対しては行政のガイドラインもあいまいです。このような事件が起きるたびに、加工食品は食べないにこしたことない、と思ってしまうのです。
 
   生きた食品、死んだ食品
 
   また、生きた食品、死んだ食品のなかで、白米は死んだ食品に入るともいいます。なぜなら、精白してしまうと穀物に含まれるはずの命が失われてしまうからです。白米を大地にまいても芽は出ないのがその証拠です。さらに電子レンジでチンして沸騰させたお湯を冷やして植物に与えると、その植物は数日で枯れてしまうそうです。やかんで沸騰させた水はちゃんと育つそうです。
「命を養うことができるのは命だけです」
   この言葉は、本の中に頻繁に出てきます。
   もしも冷凍していたご飯(玄米)を解凍したければ、蒸し器で蒸すこと。お米は玄米に、麦、副穀物を混ぜてみる。マーガリン、乳製品の代わりは、ハチミツやメープルシロップ、良質のピーナッツバター、胡麻ペースト、豆乳で。発酵食品はぬか漬けやキムチで。野菜はできれば無農薬有機野菜。乳製品も国産のいいものなら少量食べても、人間の体の免疫システムで防御できると言います。「なにも松坂牛や神戸牛を買う必要はないのです。健康な生活を送っているかどうかなのです。安い牛肉はたいてい狭い牛舎でろくな運動もせず、餌は生命力を持たない配合飼料を食べて育った牛の肉です。病気が出るといけないからと抗生物質を常用していたかもしれません。そのような肉に保存料や発色剤がかけられていたとしたら、それはもう食品といえるものではありません」
   大事なのは添加物がなく、フレッシュで、安全なもの。「よく、そんな高価な無農薬の食生活は無理とか、お金に余裕のある人しか健康になれないのかと反論されるのですが、私たち消費者が安全な食品が欲しいと声を大にして言ってこなかったから、生産者も作ってくれないのです。安全な食品を本気で求める消費者が増えれば、安全な食品も増えるのです。そうすれば市場原理が働き、価格も下がってくるでしょう」
   そうして、最後に氏は言います。
「体は人生の集大成、生き様が体に現れます。すでに衰えを感じている人も、すでに病気になってしまった人でも、体によいことを始めるのに遅すぎると言うことはありません。無理をすれば体は正直に反応し衰えますが、よいことをすればちゃんと回復してくれます。生活習慣病は、本当は自己管理欠乏病なのですから」
   丹羽先生もよくおっしゃっています。人間の持つ治癒力を高めてあげること。そのために食事は命を養う大切なもの。いまからでも出来ることから改善を始めたいものです。
 

 


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